2016.05.16
ゲームアプリ市場は日本が最も有益? 日本とアメリカでの比較
アメリカのApp Annieは、電通の協力のもと、日本のゲームアプリ市場に関する調査結果を発表しました。今回はその結果の紹介とそこから見えてくる市場の傾向に関して書かせていただきました。
日本の人口は、約1億2700万人、対してアメリカは約3億2400万人とおよそ3倍もの人口の開きがあります。そのため、ゲーム市場においても3倍ほどの市場規模があるように思えるかもしれません。しかし、ゲームアプリ市場においては当てはまらず、アメリカの市場規模を上回っているとのことです。
日本のモバイルゲーム市場の年間収益とプレイヤーの利用時間が米国を上回る~App Annie調査~
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20160513_757399.html
引用始め
同レポートは、日本のApp StoreとGoogle Playにおける2014~2015年のトップ200のゲームアプリを対象に調査を行ったもの。カテゴリーの分類は電通が行っており、「RPG(トラディショナル、アクション、シミュレーション、パズル、オンライン)」「カジュアル」「ストラテジー」「シミュレーション」「スポーツ」「リズム」「恋愛シミュレーション」「ボードゲームとカジノ」「その他」の9種類から構成される。
引用終わり
ダウンロード数
まずは、日本とアメリカのゲームアプリのダウンロード数の比較になります。2013年の日本のダウンロード数を100とすると、アメリカは、日本の約5倍と成っています。そして各年でダウンロード数に多少の変動はありますが、その比率に大きな変動はありません。ただ人口が約3倍のアメリカに対して、ダウンロード数は5倍となっているため、日本人の方が少ないタイトルで遊んでいるということがわかります。
ではゲームの利用状況はどうでしょうか。それがわかるのが、ゲームアプリに何回アクセスしたかというセッション数と利用時間です。それをアメリカと比較したところ、日本を100とした場合、約4分の1ほどになります。また、ゲームアプリとそれ以外のアプリに費やす時間の割合を比較したところアメリカの約2倍の25%を占めていることもわかりました
収益に関して、日本もアメリカも増加しておりますが、日本の増加は、2013年から2014年で2倍、2013年から2015年で2.5倍へと市場規模を拡大しております。そのため、2014年には、収益に関して日本がアメリカを上回るという結果となっています。これらのことから日本人は、少ないタイトルに注力し、時間とお金を投下するという傾向がアメリカよりも強いということがわかります。
また、それは国内のシェアにも表れています。パレートの法則などで上位のコンテンツが収益を独占するよりことはよく言われていますが、日本の場合、それが顕著に表れています。2015年のゲームアプリのトップ10の収益シェアを見た場合、アメリカが約40%に対して、日本は約50%と10%もの差があります。
日本のゲーム会社も海外展開を考えている企業が多いと思います。では現状、国内外のシェアはどうなっているのでしょうか。日本とアメリカで比較したところ、日本の場合、日本国内が大半をしめ、それ以外は、中国、韓国、アメリカとヨーロッパの一部の国です。一方アメリカの場合、国内のシェアが最大ながらも、ヨーロッパの全域やロシア、オーストラリアなど広い地域で収益を上げていました。
ゲームアプリに関して、国単位で見た場合、市場として最も良いのは、利用時間やアクセス数、そして収益までつながりやすいという点で日本の市場と言えるでしょう。しかし、レッドオーシャンとなっている日本のゲームアプリ市場、なかなか一攫千金ということは少なくなってきています。ただそれは、似たようなゲーム性のものが多く出てきているからです。だからこそリスクを恐れず、新たなゲーム性を試し、成功させることで今のパワーバランスは大きく変わるでしょう。そしてユーザーもそのようなゲームが出てくることを常に待ち望んでおります。
